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異種金属の溶接技術と注意点!鉄、ステンレス、アルミ、真鍮の接合法

溶接は、建築や製造業、工芸に至るまで、などの金属を接合するための重要な技術です。しかし、異なる金属同士を溶接する際には、同種金属の溶接よりも複雑な技術が要求されます。

本記事では、特にとステンレス、アルミ、真鍮などの異種金属を溶接する際の最適な方法とその注意点について解説します。

鉄とステンレスの溶接

鉄とステンレスを溶接する際の主な課題は、これらの金属が異なる熱膨張率や溶融温度を持つことです。特に、ステンレスは鉄に比べて熱膨張率が高く、溶接中および溶接後の温度変化によって、溶接部に大きな応力が発生しやすくなります。

その結果、ひび割れや変形といった問題が生じる可能性が高まります。また、適切な溶接棒の選定と温度管理も非常に重要です。

これを誤ると、溶接部分の耐久性が低下し、長期的な使用に支障をきたす可能性があります。このため、専門的な技術適切な対策が重要です。

溶接方法の選択

ステンレスと鉄の溶接では、溶接方法の選択が重要です。SUS309の溶接棒を使用するTIG溶接が推奨されますが、鉄の溶け込みを最小限に抑える工夫が必要です。低電流での溶接や*バタリングを活用することで、溶接部の品質を保ち、割れやすさを軽減します。

*「バタリング」は溶接前に金属表面にあらかじめ溶接材料を薄く塗布し、母材と異なる金属の層を形成する技術です。

使用する溶接棒の選定

溶接棒にはSUS309を選ぶことで、ステンレス側のクロムやニッケルの希釈を防ぎ、溶接部の耐久性を高めます。鉄とステンレスの異種金属溶接では、この選定が特に重要で、溶接後の欠陥を防ぐために適切な溶接棒の選定が不可欠です。

予熱と後熱処理

ステンレスと鉄の溶接において、予熱と後熱処理は溶接部の応力を軽減し、割れを防ぐために重要です。特に、異種金属の溶接では、温度管理を徹底することで、長期的な耐久性を確保し、腐食のリスクを低減します

矢内精工株式会社の溶接技術

矢内精工(株)の溶接技術についてご紹介します。当社では、CO2溶接TIG溶接という2つの主要な溶接技術を活用し、製品の品質向上と生産効率の向上に努めています。

CO2溶接

CO2溶接(炭酸ガスアーク溶接)は、特に鉄(軟鋼)の溶接に適しており、高い生産効率と優れた強度を持つ溶接方法です。スラグが発生しにくく、コスト効率にも優れているため、幅広い製造現場で採用されています。

また、当社ではスパッタの発生を最小限に抑える工夫を施し、製品の美観を保ちながら高い品質を実現しています

TIG溶接 

TIG溶接は、仕上がりの美しさと高い気密性が求められる製品に最適な溶接方法です。不活性ガスを使用することで、溶接部が酸素と反応せず、強度の高い仕上がりが得られます。

複雑な形状やさまざまな金属に対応できる柔軟性を持ち、精密な仕上がりを必要とする製品に最適です。矢内精工(株)では、これらの溶接技術を駆使して、お客様に信頼される高品質な製品を提供し続けています。溶接技術の特性を最大限に活かし、より優れた製品をお届けすることが可能です。

矢内精工株式会社の強み

矢内精工(株)は、医療機器製造業登録を取得し、高品質な医療機器部品の製造に取り組む一方、新技術の開発にも力を入れています。

2017年には新接合技術工法を開発し、製造プロセスの効率化と品質向上に成功しています。また、オーダーメイドの溶接ソリューションを提供し、迅速な対応と柔軟なサポートでお客様のプロジェクト進行をスムーズにします。

さらに、技術者は定期的な研修を受けており、最新技術を習得することで常に高品質なサービスを提供し続けています。

鉄とアルミの溶接

鉄とアルミ溶接する際には、異なる金属が接合されることで、金属間化合物が形成され、接合部が脆くなるリスクがあります。

鉄は約1,500℃で溶け始めるのに対し、アルミは約600℃で溶け始めます。この溶融点の差により、アルミが早く溶け、鉄がまだ溶けていない状態で接合が困難になることが多いです。

さらに、アルミは鉄の約3倍の熱伝導率を持っているため、熱が溶接時に広がりやすく、温度管理が難しくなります。これらの要因が重なることで、とアルミの溶接には高度な技術と特別な手法が求められます。

鉄と真鍮の溶接

鉄と真鍮の溶接には、温度管理が極めて重要です。これらの金属は異なる溶融温度を持つため、適切な温度コントロールが求められます。

銀ロー付け(異なる金属を接合する際に用いられる技術)を用いる場合、鉄と真鍮の温度を均一に保つことが不可欠です。

特に、適切なタイミングで銀ロー材を流し込む技術が、溶接の品質を左右します。さらに、専用のフラックス(溶接時に使用する薬剤)の正確な塗布も重要です。これにより、溶接部の強度や仕上がりが大きく左右されます。

このような技術的なポイントを次世代に確実に伝えることで、長期的に安定した高品質の製品を提供し続けることが可能です。

鉄板溶接の基礎知識

鉄板の溶接は、金属加工において非常に重要な技術です。特に、薄い鉄板と厚い鉄板を溶接する場合には、異なる厚さの金属同士を接合するための特殊な技術と注意が求められます。以下に、溶接を成功させるための基本的なアプローチを説明します。

溶接時の熱の分配と管理

溶接角度の調整

溶接時のトーチの角度を調整することで、熱の分布を制御できます。具体的には、トーチの角度をわずかに調整し、主に厚い鉄板に熱を集中させ、その余熱を利用して薄い鉄板を溶接します。これにより、薄い鉄板の過熱を防ぎ、均一な溶接が可能になります。

短い溶接ビードの使用

溶接ビードの長さを短く設定することも、薄い鉄板が過熱しないための有効な手法です。短いビードを使って段階的に溶接を行うことで、熱の蓄積を抑え、鉄板の変形や穴開きのリスクを軽減できます。

パルス溶接の利用

パルス溶接は、熱の制御がしやすい溶接方法です。パルス溶接を用いることで、溶接中の温度をより細かくコントロールでき、特に薄い鉄板の溶接で効果的です。

鉄筋溶接の基礎知識

鉄筋のアーク溶接には、炭素含有量が約0.25%の炭素鋼が使用されます。このため、低水素系被覆棒やマグ溶接が特に適しています。鉄筋の溶接継手には、突合せ溶接、重ね溶接、鉄筋と鉄板の接合、そして鉄筋の十字接合などがあり、さらにそれぞれに直接継手と間接継手があります。

溶接材料の選定では、母材と同等かそれ以上の強度を持つものを選ぶことが推奨されます。特に、低温割れを防止するためには、母材熱影響部の硬さを抑えるための適切な予熱や温度管理が重要です。これにより、溶接の品質と耐久性が確保されます。

鉄粉の役割とは?

鉄粉は、溶接工程において欠かせない役割を果たしています。特に、溶接棒やコアードワイヤーに添加することで、溶接の効率や品質に次のようなメリットをもたらします。

  • 溶接効率の向上
  • 品質の向上
  • 作業環境の改善
  • コストの削減

溶接効率の向上

鉄粉の添加により、金属の供給がスムーズになり、溶接速度が向上します。これにより、作業時間が短縮され、生産性が高まります。

品質の向上

鉄粉はメタルフィラー(充填材)として作用し、溶接部の強度や仕上がりの品質を向上させます。均質で純度の高い鉄粉を使用することで、溶接部分の欠陥が減少し、耐久性が確保されます。

作業環境の改善

鉄粉が均一に分散されることで、スパッタ(溶融金属の飛散)が減少し、作業現場の清掃や保護の手間が軽減されます。これにより、安全で快適な作業環境が保たれます。

コストの削減

鉄粉の効果的な活用により、溶接材料の使用量が最適化され、材料費の削減につながります。

鉄の溶接を成功させるためのポイント

矢内精工(株)では、鉄の溶接において高精度で信頼性の高い技術を提供しています。当社が採用するTIG溶接やCO2溶接技術は、鉄の特性を最大限に活かし、常に安定した品質を実現

また、技術者育成プログラムを通じ、現場での生産効率向上をサポートします。

製造プロセスの最適化とコスト削減を目指したカスタマイズ溶接ソリューションをご提案します鉄の溶接に関するご相談がございましたら、ぜひ当社にお問い合わせください。